![](https://saratoku.net/wp-content/uploads/2020/12/ギリシャ風景写真_1200_トリミング.png)
初訪問の方は、はじめまして。
他の記事から見てくださっている方は、こんにちは。
さらっと納得を目指す本サイト「さらとく」。
第16回記事となります。
以前の記事で書かせていただいた通り、
2021年最初のテーマは「十二の功業」についての一連の記事となります。
前回の最後にありますように、今回は
第四の功業「エリュマントスの猪」について紹介させていただきます。
![](https://saratoku.net/wp-content/uploads/2021/01/猪_300.png)
どうして「十二の功業」やってるの?
決して成り行き任せで始まったわけではありません。
数々の無理難題を課されながらも律儀に勤めを果たし続けたのには、
ヘラクレスなりに切実な事情があってのことだとされているそうです。
以前の記事でも書かせていただきましたが、
ヘラクレスの抱える事情というのは、端的に言えば「罪滅ぼし」です。
女神ヘラの介入により正気を失ったことで起こしてしまった事件について、
その罪を償うべく光明神アポロンの神託を受けて始まったのが
「十二の功業」と呼ばれる難行だったそうです。
・・・が。ここで問題発生。
「十二の功業」の切っ掛けとなった光明神アポロンの神託ですが、
その内容はちょっと雑なものだったらしく、
罪滅ぼしに関して「具体的に何を為すべきか」については言及してなかったそうです。
神託で告げられたのは
- 誰の下で
- いくつの勤めを果たすか
という2点。これだけ。
つまり「十二の功業」には、
神託を下した光明神アポロンとは別に人間の雇い主が存在します。
雇い主として指定された人物の名前は、エウリュステウス。
当時ミケーネ&ティリンスという土地を支配していた王とされる人物です。
![](https://saratoku.net/wp-content/uploads/2021/07/王とっくん_300_見出し用.png)
このエウリュステウス王ですが、実はヘラクレスとの間にかなりの因縁のある人物で
ヘラクレスに対して恨みがあるわけでは無いものの
ヘラクレスが健在だと気が休まらない
という実に複雑な立場であったとされているそうです。
そんなエウリュステウス王なので、
ヘラクレスに10個、好きに仕事を課していいよ byアポロン神
とのお墨付きをいただいてしまったことで、
これ幸いと私情挟みまくりで難題を課すことになります。
要するに、エウリュステウス王の課す勤めには
表向きの名目と個人的な裏事情がもれなくセットで存在していたそうです。
今回の目的
![<strong>エウリュステウス王</strong><br><strong>(<span class="has-inline-color has-blue-color">表</span>)</strong>](https://saratoku.net/wp-content/uploads/2021/07/王とっくん_160_吹き出し用.png)
(表)
エリュマントス山に住んでる大猪を倒してきて。
でも狩るのは禁止、生け捕りね。
「十二の功業」第四の勤めは、怪物の生け捕りです。
聖獣でも何でもない、いたって普通の怪物なのに生け捕りです。
そして、特に生け捕りにする理由については語られていないみたいですね。
体裁を整えることを諦めたのか、
あるいはいくらか投げ遣りになってきたのかは不明ですが、
いずれにしても、エウリュステウス王にとってヘラクレスが目の上のコブなのは変わりません。
何より、エウリュステウス王は既に私情を込めに込めた無理難題を3件課している上、
その内の1つをわざわざノーカウントにするという振る舞いまで見せています。
ヘラクレスの性格を考えると、今更諦めるという選択肢は無いに等しいのです。
ギリシャ神話において数々の功績を打ち立てた英雄ヘラクレスですが、
一方で、本人の振る舞いは非常に人間臭く、割と欠点が多いことでも有名です。
中でも問題になりやすいのがこの辺り。
- 酒癖が悪い
- 思い込みが激しい
- 執念深い
という訳で、第四回にして割と追い詰められてきたエウリュステウス王の
今回の思惑はこんな感じとなります。
![<strong>エウリュステウス王</strong><br><strong>(<span class="has-inline-color has-red-color">裏</span>)</strong>](https://saratoku.net/wp-content/uploads/2021/07/悪とっくん_160_吹き出し用.png)
(裏)
・・・一年くらい帰ってこないから安心してたんだけど。
そうですか、聖獣追っかけてましたか。
![<strong>エウリュステウス王</strong><br><strong>(<span class="has-inline-color has-red-color">裏</span>)</strong>](https://saratoku.net/wp-content/uploads/2021/07/悪とっくん_160_吹き出し用.png)
(裏)
もう聖獣はいいから、猪の怪物捕まえてきて。
退治じゃなくて、生け捕りね。
少しでも苦戦して。出来れば、運悪くやられてきて。
エリュマントスの猪とは?
エリュマントス山という場所に住む大猪です。
周辺地域の村や畑を荒らしまわっていたことで、
その一帯の住民から恐れられていたという背景があったのだとか。
特徴①:獰猛にして巨躯
外見こそイノシシとされている「エリュマントスの猪」ですが、
野山に生息するような動物としての猪ではなく、
歴とした怪物の一体として語られているそうです。
当然ながら、その影響もやはり怪物らしいもので
獰猛な性格と巨体を備えた猪型のモンスターとして、
周辺の村や畑はもちろん、人間さえも襲って被害を出していたと言われています。
特徴②:狩猟神アルテミスの関係者
前回の記事でも名前が登場した狩猟神アルテミスですが、
今回の勤めにおいてもちょっと絡んでいたとする説もあるそうです。
それによると、前回の「ケリュネイアの鹿」が狩猟神アルテミスの聖獣であったのに対して、
今回の「エリュマントスの猪」は、狩猟神アルテミスの意思を示す代弁者のような存在だったとされているのだとか。
具体的に言えば、
狩猟神アルテミスの怒り(例:信仰少ない)を示すために送り込まれる怪物
という立ち位置だったみたいです。
vs.エリュマントスの猪
あっさり終わりました。
狩猟神アルテミスの関係者とは言え、聖獣のように「手出し厳禁」という縛りも無いため、
発見→追い回す→罠にはめる
という分かりやすい狩猟風景で生け捕り完了したそうです。
![](https://saratoku.net/wp-content/uploads/2020/12/さらとっくん_160_160.png)
ちなみに本件、罠ではなく格闘して生け捕りにしたとする説もあるとされています。
![](https://saratoku.net/wp-content/uploads/2020/12/さらとっくん_160_160.png)
ただ、その場合でも特に苦戦する理由も無いので、やはりあっさり終わるのですが。
その後の顛末
前回の「ケリュネイアの鹿」でもそうでしたが、
生け捕りと指示された対象は、証拠として
捕えた状態でエウリュステウス王の元まで持ち帰るルールがあるみたいです。
今回の「エリュマントスの猪」についても同様で、
前回よろしく生け捕り状態で猪を持ち帰ったヘラクレスでしたが、
肝心のエウリュステウス王はそれを見て青銅の大甕に隠れてしまったのだとか。
![](https://saratoku.net/wp-content/uploads/2020/12/さらとっくん_160_160.png)
エウリュステウス王を格好悪いと言うべきなのか、
怪物を抱えて平然としているヘラクレスがとんでもないと言うべきなのか、
難しいところですね。
もうひとつの顛末
実は今回、「エリュマントスの猪」を発見する前(捕えた後とも)に、
ヘラクレスはケンタウロス族のひとりと食事を共にしていたのだそうです。
この時の食事自体は和やかなものだったらしいのですが、
ヘラクレスがお酒を飲みたくなったことでケンタウロス族との騒動に発展してしまい、
結果としてヘラクレスは自身の師を死に至らしめてしまうという逸話に繋がります。
![](https://saratoku.net/wp-content/uploads/2020/12/さらとっくん_160_160.png)
ヘラクレスのお酒にまつわる失敗エピソードの代表格とも言える逸話です。
![](https://saratoku.net/wp-content/uploads/2020/12/さらとっくん_160_160.png)
ヘラクレスは割とこういう面があるんですよね。
お酒が好きで、お酒に酔いやすくて、そして酔っぱらうと大ごとに・・・と。
以上、今回は「十二の功業」より「エリュマントスの猪」について紹介させていただきました。
次回は、第五の功業「アウゲイアスの家畜小屋」についてとなります。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
また他の記事でお会いいたしましょう。
コメント