さらっと「ゲリュオンの牛」~十二の功業 その⑩~

初訪問の方は、はじめまして。

他の記事から見てくださっている方は、こんにちは。

さらっと納得を目指す本サイト「さらとく」。

第22回記事となります。

以前の記事で書かせていただいた通り、

2021年最初のテーマは「十二の功業」についての一連の記事です。

前回の最後にありますように、今回は

第十の功業「ゲリュオンの牛」について紹介させていただきます。


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どうして「十二の功業」やってるの?

英雄ヘラクレスの代名詞とも言える「十二の功業」ですが、

決して成り行き任せで始まったわけではありません

数々の無理難題を課されながらも律儀に勤めを果たし続けたのには、

ヘラクレスなりに切実な事情があってのことだとされているそうです。

以前の記事でも書かせていただきましたが、

ヘラクレスの抱える事情というのは、端的に言えば「罪滅ぼし」です。

女神ヘラの介入により正気を失ったことで起こしてしまった事件について、

その罪を償うべく光明神アポロンの神託を受けて始まったのが

「十二の功業」と呼ばれる難行だったそうです。

・・・が。ここで問題発生。

「十二の功業」の切っ掛けとなった光明神アポロンの神託ですが、

その内容はちょっと雑なものだったらしく、

罪滅ぼしに関して「具体的に何を為すべきか」については言及してなかったそうです。

神託で告げられたのは

  • 誰の下で
  • いくつの勤めを果たすか

という2点。これだけ

つまり「十二の功業」には

神託を下した光明神アポロンとは別に人間の雇い主が存在します。

雇い主として指定された人物の名前は、エウリュステウス

当時ミケーネ&ティリンスという土地を支配していた王とされる人物です。

※イメージ図

このエウリュステウス王ですが、実はヘラクレスとの間にかなりの因縁のある人物

ヘラクレスに対して恨みがあるわけでは無いものの
ヘラクレスが健在だと気が休まらない

という実に複雑な立場であったとされているそうです。

そんなエウリュステウス王なので、

ヘラクレスに10個、好きに仕事を課していいよ byアポロン神

とのお墨付きをいただいてしまったことで、

これ幸いと私情挟みまくりで難題を課すことになります。

要するに、エウリュステウス王の課す勤めには

表向きの名目と個人的な裏事情がもれなくセットで存在していたそうです。

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今回の目的

<strong>エウリュステウス王</strong><br><strong>(<span class="has-inline-color has-blue-color">表</span>)</strong>
エウリュステウス王
()

ゲリュオンって人が飼っている紅い牛の群れがいるらしいから、これ貰ってきて。

あくまで、目的は牛ね。

第十の勤めは、牛の生け捕りです。

ここ最近は、牛と言いつつ怪物化していたり馬でありながら怪物同然だったりと、

何かと落とし穴のある展開が続いていましたが、

今回は本当に「珍しい特徴のある牛」だったみたいですね。

<strong>エウリュステウス王</strong><br><strong>(<span class="has-inline-color has-red-color">裏</span>)</strong>
エウリュステウス王
()

牛は本当に牛だよ。

飼い主とか、牧犬とか、目的地とかに問題はあるけども。

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ゲリュオンの牛とは?

怪物ゲリュオンが飼っていた牛の群れのことです。

通常の牛と違って紅い色をした牛だったとか。

一方で、牛そのものの特異性はこれと言って語られていないらしく、

本当に「紅い牛」という、ただそれだけの牛だったみたいです。

とは言え、今更ですが、これはエウリュステウス王ヘラクレスに課した勤め。

珍しい色の牛を連れてくればOK

などという易しい話はあり得ません。もちろん難題ネタがついています。

特徴①:飼い主の怪物ゲリュオン

怪物ゲリュオンとは、

ギリシャ神話に登場する人型の怪物です。

特徴として三つの頭と三対の腕を持つことから、

三頭三体の怪物として知られていたそうです。

簡単に言えば、人間の上半身が三つある男性体ですね。

また、怪物ゲリュオン鎧兜に槍と盾を組み合わせた

いわゆる重装歩兵の恰好をしていたと言われているとか。

中々に近代的ですね。

ちなみに、対するヘラクレスはお馴染みの獅子の毛皮に棍棒と弓矢

こっちは原始的ですね。良い対比です。

一説には、過去の難行でも言及された「怪物の母」こと怪物エキドナの兄弟にあたるらしく、

そういう意味では、これまでに登場した面々とは親戚筋ということになるのかもしれません。

さらっと豆知識 『怪物エキドナ』

怪物エキドナは、後に多くの怪物を生み出すことから「怪物の母」とも呼ばれるそうです。
中には、過去の功業で登場したネメアの獅子レルネーの水蛇(ヒュドラ)もいるらしく、
それらの怪物からすれば叔父にあたるゲリュオンもまた、強大な怪物だったのかもしれませんね。

特徴②:牧犬の怪物オルトロス

怪物オルトロスとは、

ギリシャ神話に登場する犬型の怪物です。

二つの頭部を持った双頭の怪物として知られており、

同じく多頭の怪物として知られる地獄の番犬ケルベロスとは兄弟にあたると言われています。

ちなみに、このオルトロス&ケルベロスの親にあたるのが、

「怪物の父」こと怪物テュポーンと、「怪物の母」こと怪物エキドナなのだとか。

つまり、怪物ゲリュオン怪物オルトロス親戚みたいな間柄なのでしょうね。

特徴③:大洋の西の果てエリュテイアの島

エリュテイアの島とは、

ギリシャ神話に登場する大洋オケアノスの西の果てにあると言われていたのことです。

具体的な位置は不明ですが、早い話が世界の果てですね。

当然ながら、簡単に辿り着けるような場所ではありません

だからこそ、エウリュステウス王も指定したんでしょうけど。

ちなみに、島の名前にある「エリュテイア」というのは、

ギリシャ神話におけるニンフ(精霊)の一柱の名前です。

世界の西の果て(エリュテイアの島とは別)にあるとされる

ヘスペリデスの園」に住んでいると言われているのだとか。

さらっと豆知識 『古代ギリシャの世界観』

ギリシャ神話において、世界の形は円盤状だと考えられていたそうです。
その円盤の中央部に神話内で登場する大陸や海があり、
円盤の外縁部を一周する形で大洋オケアノスが広がっているという認識だったみたいですね。

簡単に表現すれば、二重丸の図(◎)があるとして、

内側の円が大陸等々、外側の円が大洋オケアノスですね。

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vs.ゲリュオンの牛

特に対決はしません。牛とは。

一応「牛が目的」とされているものの、

今回の勤めにおける障害は、主に飼い主側の怪物達です。

複数種の怪物が一ヵ所に集まっているというかつてない状況を、

如何にして切り抜けるかというのが今回の主眼となるわけですね。

vs.怪物オルトロス

一蹴。

怪物エキドナの子という割と凄い出自を持っている怪物オルトロスでしたが、

牛を持ち帰ろうとしたヘラクレスに襲い掛かったところ、

棍棒でさくっと倒されちゃったそうです。

vs.牧童エウリュティオーン

一蹴。(2回目)

あまり言及はされませんが、一応牧童がいたとする説もあるみたいです。

一説には「エウリュティオーン」という名前だったとか。

ただ、これと言って特別な設定は無かったのか、怪物だったりする描写も無く、

怪物オルトロスに続いて、ヘラクレス棍棒で打ち倒されてしまった様子。

vs.怪物ゲリュオン

一蹴。(3回目)

番犬と牧童を倒されて、ついに登場したラスボス・・・のはずだったのですが、

いざ持ち去られた牛の群れに追い付いたところ、

ヘラクレスで射られてリタイア

こうして、紅い牛を巡る攻防は、

ヘラクレス鮮やかな3タテにより終了したそうです。

相手が悪かったと言えばそれまでですが、

もはや怪物退治も手慣れたものになってますね、ヘラクレス


以上、今回は「十二の功業」より「ゲリュオンの牛」について紹介させていただきました。

次回は、第十一の功業「ヘスペリデスの黄金の林檎」についてとなります。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

また他の記事でお会いいたしましょう。

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