さらっと「ヘスペリデスの黄金の林檎」~十二の功業 その⑪~

初訪問の方は、はじめまして。

他の記事から見てくださっている方は、こんにちは。

さらっと納得を目指す本サイト「さらとく」。

第23回記事となります。

以前の記事で書かせていただいた通り、

2021年最初のテーマは「十二の功業」についての一連の記事となります。

前回の最後にありますように、今回は

第十一の功業「ヘスペリデスの黄金の林檎」について紹介させていただきます。


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どうして「十二の功業」やってるの?

英雄ヘラクレスの代名詞とも言える「十二の功業」ですが、

決して成り行き任せで始まったわけではありません

数々の無理難題を課されながらも律儀に勤めを果たし続けたのには、

ヘラクレスなりに切実な事情があってのことだとされているそうです。

以前の記事でも書かせていただきましたが、

ヘラクレスの抱える事情というのは、端的に言えば「罪滅ぼし」です。

女神ヘラの介入により正気を失ったことで起こしてしまった事件について、

その罪を償うべく光明神アポロンの神託を受けて始まったのが

「十二の功業」と呼ばれる難行だったそうです。

・・・が。ここで問題発生。

「十二の功業」の切っ掛けとなった光明神アポロンの神託ですが、

その内容はちょっと雑なものだったらしく、

罪滅ぼしに関して「具体的に何を為すべきか」については言及してなかったそうです。

神託で告げられたのは

  • 誰の下で
  • いくつの勤めを果たすか

という2点。これだけ

つまり「十二の功業」には

神託を下した光明神アポロンとは別に人間の雇い主が存在します。

雇い主として指定された人物の名前は、エウリュステウス

当時ミケーネ&ティリンスという土地を支配していた王とされる人物です。

※イメージ図

このエウリュステウス王ですが、実はヘラクレスとの間にかなりの因縁のある人物

ヘラクレスに対して恨みがあるわけでは無いものの
ヘラクレスが健在だと気が休まらない

という実に複雑な立場であったとされているそうです。

そんなエウリュステウス王なので、

ヘラクレスに10個、好きに仕事を課していいよ byアポロン神

とのお墨付きをいただいてしまったことで、

これ幸いと私情挟みまくりで難題を課すことになります。

要するに、エウリュステウス王の課す勤めには

表向きの名目と個人的な裏事情がもれなくセットで存在していたそうです。

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今回の目的

<strong>エウリュステウス王</strong><br><strong>(<span class="has-inline-color has-blue-color">表</span>)</strong>
エウリュステウス王
()

ヘスペリデスの園って所に、黄金の林檎が生ってるんだって。

これ採ってきて。

第十一の勤めは、リンゴ狩りです。

第九の勤めに続く、2度目の物品目当ての冒険となります。

前回の物品回である「アマゾンの女王の腰帯」においては、

品物自体ではなく、

「それを求める」という行動の方に問題が生じる展開となっていました。

では、今回はどうかといいますと。

<strong>エウリュステウス王</strong><br><strong>(<span class="has-inline-color has-red-color">裏</span>)</strong>
エウリュステウス王
()

リンゴ狩りで正しいよ。

世界の果てで怪物に守られてる果樹園に生えたリンゴの樹だけどね。

いつも以上に詰め詰めでした。

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ヘスペリデスの黄金の林檎とは?

ヘスペリデスの黄金の林檎」とは、

ヘスペリデスの園」と呼ばれる場所に生っているとされる林檎のことです。

そのままですね。

厳密に言えば、

ヘスペリデスの園」には特別な果樹園が作られていたらしく、

件の林檎の生る樹は、その中に生えていたとされているそうです。

さらっと豆知識 『ヘスペリデス』

ヘスペリデスというのは、ギリシャ神話に登場するニンフ(精霊)達のことです。
世界の西の果てとされる「ヘスペリデスの園」に住んでいるとされていて、
その名前には「黄昏の娘達」という意味があるのだそうです。

とは言え、そこはやっぱり苦労人の英雄ヘラクレス

そんな「ちょっとしたリンゴ狩り」程度で済むはずもなく。

特徴①:果樹園の持ち主

今回の目的地「ヘスペリデスの園」に果樹園があるのは先述した通りですが、

実はこれ、ニンフ達のものではありません

彼女たちは果樹園のお世話をしているだけです。

Q.ヘスペリデスの園の果樹園って誰のもの?

A.女神ヘラ。

出ました。

ヘラクレスの人生屈指の厄ネタこと女神ヘラ。

これまで一方的に介入されてはその度にロクな目に合わないという、

ヘラクレスにとって正真正銘のトラブルメーカーなのですが、

今回は逆にこちらから女神ヘラ所有物に手を出せと言われたわけです。

全く嬉しくないですね。

ちなみに、今回の目的である黄金の林檎が生る樹ですが、実はこれ女神ヘラが結婚祝いに貰ったものらしいです。

ヘラクレスも、さぞ気が進まなかったことでしょう。

特徴②:百頭の竜ラドン

先の特徴(女神ヘラ)に比べればマシなものでしょうが、

今回もやっぱり、目的地に番人と言える存在は置かれています。

それが百頭の竜と言われる怪物ラドンです。

ここでいう「百頭」とは、

「百匹」ではなく「百の頭を持つ」という意味での百頭です。

つまり、

これまでの勤めに登場してきた面々と似た多頭の怪物

番人として黄金の林檎を守っていたわけですね。

さらっと豆知識 『怪物ラドン』

ラドンというのは、百の頭を持った竜として語られる怪物です。
ギリシャ神話最大級の怪物テュポーンと、「怪物の母」と言われる怪物エキドナの子であり、
同じく多頭の怪物であるレルネーの水蛇(ヒュドラ)とは兄弟にあたるそうです。

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vs.ヘスペリデスの黄金の林檎

当然ですが、リンゴと戦うような展開は無いです。

どのようなアプローチで入手を狙うかというお話ですね。

実は、今回の勤めに関しては、

出典によってヘラクレスの行動が大きく異なりまして、

どのような経緯を辿ったかによって対峙する相手も変わってきてしまいます。

せっかくなので、それぞれ紹介しますね。

パターン①:vs.怪物ラドン

まず、百頭の竜と言われる怪物ラドンと戦うパターンです。

こちらは、ヘラクレス自身がヘスペリデスの園に向かう展開となっており、

紆余曲折を経て目的地にたどり着いたヘラクレスが、

林檎の樹の番人である怪物ラドンと戦い、これを退治するという流れになるみたいです。

ヘラクレス怪物ラドンの戦いについてあまり詳しい描写は無いのですが、

退治された怪物ラドンは、

その後りゅう座として天に昇ったとされているそうです。

パターン②:vs.巨神アトラス

次に、天空を支える巨神アトラスと対峙するパターンです。

と言っても、別に戦ったりするようなことはなくて、

いわば知恵比べのようなやりとりですね。

このパターンだと、ヘラクレス自身がヘスペリデスの園に向かうのではなく、

巨神アトラスに代わりに行ってもらう展開となっています。

さらっと豆知識 『巨神アトラス』

巨神アトラスというのは、かつて主神ゼウスと敵対した神族の一員です。
主神ゼウス達との戦いに敗れた際、その巨体を生かして両腕と頭で天空を支える役目を課されたそうです。
当然ですが、天空なんて物凄く重いらしく、巨神アトラスは割とこの役目を嫌がっているみたいですね。

何故ヘスペリデスの園へ行くのにこの巨神アトラスが関係するのかと言いますと、

実はこの人、ヘスペリデスの父親に当たるのだそうです。

そのような縁もあって巨神アトラスヘスペリデスの園の場所を知っていたため、

黄金の林檎を手に入れたいヘラクレスから相談を受けることになったのだとか。

厳密に言えば、ヘラクレス巨神アトラスに黄金の林檎を得るための相談を持ち掛けただけで、

「自分が林檎を取ってくる」と言ったのは巨神アトラスの方だったみたいですね。

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その後の顛末

その後のやり取りについてはいろいろあったのですが、

最終的にヘラクレスは目的の黄金の林檎を入手し、エウリュステウス王の元へ帰還しました。

いつも通り達成の証として黄金の林檎エウリュステウス王に渡したヘラクレスでしたが、

今回はそのままヘラクレスの手に返され、

そこから更に戦神アテナが受け取って、元の場所に戻されたのだといいます。

というのも、実は女神ヘラの持ち物は勝手に移動させたり持ち出したりしたらダメだったらしいです。

普通に考えれば女神ヘラの持ち物じゃなくてもダメなのですが、

そこは神話都合ということで。


以上、今回は「十二の功業」より「ヘスペリデスの黄金の林檎」について紹介させていただきました。

次回は、第十二の功業「冥界の番犬ケルベロス」についてとなります。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

また他の記事でお会いいたしましょう。

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